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2008/11/05

mastermind JAPANの“世界戦”での実力

 グローバル化が叫ばれているなか、日本のファッション産業の“国際化”は輸入偏重が続いており、2兆円の輸入に対して輸出は600億円でしかない。この輸出実績は先進国のなかで最低の水準で、世界最大の輸入大国アメリカでも3000億円のファッションを輸出している。
 そうしたなか「われわれは“日本製”にこだわり、モノづくりを続けている」と語るのはマスターマインド・ジャパンのデザイナー、本間正章氏である。同ブランドは、いま、もっともホットなグローバル・ビジネスを実践中で、デザインもさることながら、匠のワザを駆使したクオリティが世界のバイヤーを惹きつけている。
 同ブランドのプロフィールを簡単に紹介すると、本間氏はあるデザイナー・ブランドに勤めた後、仲間数人と会社を興した。このあたりはファッション界では珍しくないインデーズだが、ふたを開けてみると、これが絶不調。バイヤーはおろかメディアにもそっぽを向かれる状況が続き、最後の展示会をパリで行なった。
 「いわば会社の終焉をパリで迎えようというものだった」と本間氏が振りかえるように、すべての商品を抱えてパリの見本市に出品した。すると、そこで意外な反応があらわれた。アメリカ西海岸にショップを構えるオーナーがブースを訪れ、こう言ったのだ。
 「君たちの商品は悪くない。ただ、価格と品質のバランスが悪い」
 会社を閉じるつもりで出品した商品が「悪くない」の評価を受け、消えかけた炎に明るさが増した。とはいえ、小さな会社で価格を下げる方策が見当たらない。生産ロットが少なく、これ以上値段を下げるのは無理である。対応を考えあぐねた結果生まれたのが、「コストを下げられないのなら、徹底的に品質にこだわろう。その結果高くなっても仕方がない」という発想だった。
 これが「高級カジュアル」のコンセプトにつながり、使用するテキスタイルにはじまり、加工の“品質探し”が始まった。もちろん、無名に近いブランドに手を貸すメーカーは少なく、なかば偶然のような出合いが糸口になった。訪れたデニムメーカーで応対してくれたのが社長だったのが救われた。もし、社長以外のスタッフならば、このときの要望は通らなかった。本間氏の真剣な説明が社長の心を動かした。
 それでも、いざ企画の打ち合わせになると、本間氏の注文は常識を越えていた。試行錯誤を繰り返し、やっと出来上がった素材で製品が完成。翌シーズン、再びパリの展示会に出すと、くだんのオーナーがやってきて、予想以上のオーダーをつけてくれた。有名デザイナーブランドと変らない価格ながら、これを契機に「マスターマインド」は各国のバイヤーをひきつけた。
 展示会はパリでの展示会だけ。日本のバイヤーですら、パリに行かなければオーダーできない。しかも、すべてが完全買取で、デパートといえども返品は認めない。日本では考えられないビジネスモデルである。無名のブランドでも、モノの価値を高めれば世界で通用する、ということを十二分に照明した事例である。
 その本間氏は、日本のファッションビジネスに対して、このように苦言する。
 「日本のテキスタイルは素晴らしい。うちのブランドが高い評価を受けたのは、単にデザインだけではなく、むしろ優れたテキスタイルや加工技術との出会いがあったから。それほど優秀な素材がありながら、多くのブランドが産地に脚を向けないのが不思議でならない。海外のブランドが(日本のテキスタイルを)注目しているのに…」

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