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2008/03/21

IFIのメンズファッション講座

 東京・両国にIFIビジネススクールがあり、そこのプロフェッショナルコース(夜間)に「メンズファッションの実践」という講座がある。IFIビジネススクールは、正式には「財団法人ファッション産業人材育成機構」といって、ファッション産業が資金を出し合って設立した、産業人を育成する教育機関である。昼間は全日制の1年コースがあり、夜間に週1回のプロフェッショナルコースがある。
 「メンズファッションの実践」というのは、半年にわたってメンズファッションをアイテム別に、その道のオーソリティーが講師になって講義するというもので、これを聴講するのは百貨店などの小売業やアパレル企業に勤める産業人である。すでに十数年になるコースだが、昨年の秋に始まった今回の講座が先週終了した。
 このコースのコーディネーターを担当しているのだが、十数年もやっていて常に感動するのが、講師の人たちの情熱である。同じ産業人でありながら、聴講者と講師の間には知識は当然のことながら、モノに対する思い入れに大きな隔たりがある。
 例えば百貨店の担当者ならば、毎日、溢れるほどの商品に囲まれているわけだから、意識しなくても商品知識は身についていく。これを5年、10年続けていけばかなりのモノ知りになるはずである。では、キャリアを重ねれば誰でも講師になれるのか、といえば否である。とくにメンズファッションは、そう簡単にオーソリティーになれない。
 レディスウエアに比べればデザインが画一的なメンズウエアは、その分、奥行きが深い。一流品といわれる商品には、表面上はもちろんだが、目に見えないところにも、こだわりが盛り込まれている。それはアパレルだけでなく、靴においても同様である。
 この講座の講師をしていただいた百貨店のバイヤーM氏は、驚くほどのビンテージ・サンプルを自費で集め、この研究成果を仕事にいかしている。聞けば、これらのサンプルは学生時代から買い付けたもので、業界のプロというより、趣味の熱中人に近い。
 また、デニムの講座を受け持っていただいたT氏は、一見すると同じに見えるブルーデニムの生地を前にして、糸質や染色、加工によって表情が変るデニムの特性を、分かりやすく解説してくれた。この分かりやすく解説する、というのもオーソリティーならではの技である。
 ワインにテイスティングがあるのと同じように、ファッションでもブランドネームをはずして、その商品の良否が識別できる能力が必要である。換言すれば、うず高く積まれた服の山から一流品を抽出できる能力。これがメンズファッションのプロに求められる資質である。
 今回、修了した聴講者から何人のオーソリティーが生まれるのか、5年後、10年後が楽しみである。

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