蘇れ!メンズ・ファッション 日本人はズボン嫌い?
欧米先進国にくらべると、日本のメンズ消費には大きな偏りがある。このことは前にも述べたが、人口1人当たりの消費量をみると、日本のスーツ消費は世界一。それとは逆にスラックス(ズボン)は先進国の中で最下位にランクされている。
これはジーンズの消費からも伺える。アメリカ文化が好きな日本人も、ことジーンズに関しては別である。ジーンズの年間消費量をみるとアメリカの4分の1、EUとの比較でも半分にしかならない。その最大原因は、やはりアダルトの需要にある。ヤングにとっての必需品が、中年になると極端に売れなくなる。
スラックスも同じで、ヤングにとってパンツ(スラックス)は、ファッションのキーアイテムである。ジーンズやチノパンツに代表されるように、パンツの優劣がファッションを決める、といってもいいぐらい、彼らはパンツに気をつかう。このあたりは靴も似ている。
いわばアダルトのファッションが上半身重視型になるのに対して、ヤングは下半身重視型。ヤングはボトムスを中心にワードローブを組み立てる。トップスは安物のTシャツでも、パンツと靴はビシっと決める。これがヤングファッションの特徴である。
それが証拠に、アダルトを対象にした百貨店のスラックス売り場は、ここ何十年も変わっていない。壁面にそなえられたハンガー。カジュアルスラックスを除けば、どの店も同じようなディスプレーで販売している。
「スラックスの売れ行きは、バーゲンセールを除けばゴルフ売り場のほうが売れている」
ある百貨店のバイヤーは、ゴルフスラックスより効率が悪い、と苦笑する。そのぐらい売れ足が鈍いアイテムなのである。
たしかに上下揃いのスーツが売れれば、単品スラックスの売れ行きは鈍る。それとともに上半身のお洒落に気を使うアダルトにとって、スラックスは「はければいい……」商品ともいえる。
だが、アダルトにスラックスが売れない理由は、ほかにもある。ここでも人為的要因が頭をもたげるのである。


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